ソフトウェア産業の危機は、日本全体の問題を象徴している

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コンピュータにあまり興味がない人は、日本のソフトウェア産業が危機にあると聞いてもピンと来ないかもしれない。ゲームソフトなんかもをあんなに輸出しているじゃないかと。 ところが、日本のソフトウェア輸出額は輸入額の1%という何ともお寒い状況なのだ。さすがに偉いさんもやばいと思いはじめ、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が国内のソフト開発力を強化するためにソフトウェア・エンジニアリング・センターを設立することとなった。

この状況はソフトウェア産業のみならず、現在の日本が抱えている構造的な問題を象徴しているように思う。そして、問題の根幹にあるのは、日本人のエセ平等主義なのではないかな。教育の機会は平等であるべきだけど、同じ教育を受けてもみんながノーベル賞を取れるわけではないという現実。ここでいいたいのは、人間はできる奴、できない奴の2種類だけということではなくて。確かに個人の能力には優劣があるが、優劣の基準軸は1つではない。そういう多様性の受け入れが不十分だったために、適材適所が実現できず、社会の硬直化を招いてしまったのかなという気がする。

それでもソフトウェアの分野では、明るいニュースもある。先述のIPAが行っている「未踏ソフトウェア創造事業」から、SoftEtherも生まれてきたわけだし。

そういえば、何年も前になるが、IPAから助成金をもらっているというソフトのデモを見たことがある。それは初心者向け写真アルバムという触れ込みだったのだが、びっくりするほど使いにくくて低機能だった。画像をドラッグアンドドロップで入れ替えることもできない(その当時でも、ドラッグアンドドロップでの操作を実現しているソフトはいくらでもあった)。極めつけは、貼り付けた画像の削除機能がないこと。削除したい時はどうするのかと聞くと、白一色の画像を用意して上から貼り付けてくださいというのだ! それはいくら何でも使いにくいだろうと指摘したが、メーカーの人間は自信満々に「複雑すぎる機能は初心者に不親切です」と言い切るのだった……。 それを思うと、未踏ソフトウェア創造事業が支援しているプロジェクトはどれも面白そうで、隔世の感がある。

○未踏ソフトウェア創造事業関連記事 ・“翻訳者並み”翻訳ソフトに“癒し系”仮想旅行ソフト――IPAXSoftEther、blogWatcherなどIPAソフトウェア開発事業の成果

コメント

yunnan
正直意外ですね。yunnanも「ゲームソフト」輸出大国というイメージがありましたからね。 理由を思いつくままに書けば、1)殆どの業務用ソフトの基盤(OS?)がそもそも日本で開発していないということ 2)個人用ソフトを日本のメーカーが開発する場合、日本語バージョンを最初に開発するため、改めて英語版などを開発しないといけないこと 3)個人用ソフトと言えば、大半のPCに輸入物がプリインストールされているということetc...しかし、そもそも論のところで典型的に「独創性がない国民性」と言われるところ、つまり、魅力あるソフトを構想する力がないのかもしれない・・・  #モノが形になってる製品は動作が改善すればそれだけで売れますが、ソフトウエアはそういうわけにいかないですからね
Tats_y
(1)に関しては、日本独自開発のOS「TRON」(中でもBTRON)が事実上つぶされたということがありました(経緯については諸説ありますが)。ユニークなソフトウェアを作る人間がいても、そのすばらしさを理解する人間が少なく、国を挙げて支援する仕組みがなかったということもありますね。 というわけで、「未踏ソフトウェア創造事業」にかなり期待しています。