読書離れが深刻といったニュースをよく見るようになった。じゃあ、そもそも読書ってどんな効果があるのか。読書する人にとって本を読むことは無条件にいいことだろうけど(私にとってもそう)、本当にそうなのか。
ということで、『読書効果の科学』(猪原敬介、京都大学学術出版会)を読んでみました。
行動遺伝学の知見を元に読書行動研究をメタ分析した結果、読書の効果を実生活で発揮するための原則として著者が挙げているのは、
原則1:平均的には効果は穏やか。気長に気楽に。
原則2:『読みすぎ』は弊害を生む。目安は1日30分〜1時間。
原則3:個人差は大きい。読書そのものが合わない人もいる。
というもの。著者は3原則を元に、親や教師に対して提案を行っている。その提案内容は実際の書籍で確かめてほしいが、人によって肩の荷が下りることもあれば、腹を立てることもあるだろうなあとは思う。
本好きな子供が読書することによるプラス効果が大きいのは間違いないのだけど、それはそもそも生まれつき読書適性が高い人が読書を好むだけかもしれないのだ。親や学校が介入して子供に読書をさせるようにしたらどうかというと、そうした介入の効果はそんなに大したことがない。
じゃあ、読書嫌いな子供は将来ダメかといえば、著者は他のメディアでも代替できる可能性を挙げている。個人的に、YouTubeやゲームは、本ではうまく説明できない分野の能力を高めることもあると思っている(これも人によるだろうけど)。身体を使う系のノウハウを事前に学ぶとか、文字ではわかりづらい抽象概念とか。Minecraftのうまい子供は、物事の段取りがうまそう。何かにハマってさらに知識を深めたくなった子供は、必要に応じてメディアを使い分けるだろうから、読書をしないからといってそこまで心配することはないのかもしれない。
子供がYouTubeやゲームにのめり込むことを心配する親はものすごく多いはず。「代わりに読書してくれれば……」と思うかもしれないが、まあそう単純ではないということですね。親が子供に出来ることは、適度にガミガミ言って夜更かしさせないようするくらいか。
ちなみに、行動遺伝学の研究によれば、「静かで落ち着いた雰囲気の中で、きちんとした生活をさせること」と「小さい頃に本の読み聞かせをすること」は、子供の知能や学力に効果がありそうとのこと(『生まれが9割の世界をどう生きるか』(安藤寿康)より)。
「子供が読書嫌いでどうしよう……」と心配している人は、『読書効果の科学』を読んでみるとよいと思います。
まあ、出版業界、特に文字物の本が縮小していくのは間違いないんでしょうけど。本はあくまでの知識を拡張するソースの1つだと認識して、他のメディアや手段と連携していく必要があるのでしょう。

コメント